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FakePlasticTree

ひびのいろいろ

グッバイ、サマー

10代前半、前思春期から思春期前半にかけ良い思い出がある人はあまり多くないだろう。衝動性が高まる年代であり、多くの男子は突飛な行動を起こす。認知能力(特に前頭葉機能、実行機能というやつだ)と衝動性のバランスがとれていない時期でもある。前頭葉機能はこの時期以降も成熟してゆくので10代後半から20代になるとかなり落ち着く。暴走族の人たちが20歳で卒業するのも納得がいく。

 大人に対しての反発心も芽生える。理屈っぽくもある(しかし理論は破綻していることが多い)。白黒思考と過度に不安が強いのも特徴だ。周囲から見れば面倒くさいことこの上ない。だから随分時が経って恥ずかしくなったり、悔やんだりする体験をこの時期に多く経験する。

どうしようもない閉塞感もある。

しかしどこか愛おしく切ない気持ちにさせる年代でもある。様々な文学作品や音楽がこの年代の心性をテーマとしている。多いに惹きつける。僕がNirvana尾崎豊太宰治などを好むのもこんな理由からだろう。

しかし僕は絶対にこの年代に戻りたくない。少し離れて、冷静になって第三者的視点から見るのが丁度良い。

 「グッバイ、サマー」は二人の少年が改造車を作って旅をする物語。少年は二人とも10代前半、前述した時期に該当する。

 この「グッバイ」には様々な意味が込められていると僕は感じた。別れの対象は友達、少年期や思春期前期、思い出、家族いろいろある。映画を見終わった後の余韻でタイトルを頭に浮かべるとそんなことを想像したくなる。

 フランスの映画なので勿論、台詞もフランス語だ。その台詞の音が切なく柔らかで心地が良い。映像も何処か淡くて水彩画のようだった。フランス映画にしては起承転結がはっきりしているが、それでも何だかゆったりとしている。