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FakePlasticTree

ひびのいろいろ

村西とおる監督の半生記

今年の紅白はなんだかモヤモヤした

今年は仕事先から紅白歌合戦を見ることにした。仕事の合間に少し見よう、と考えていた。 元々、生まれ育った家族文化の中には紅白歌合戦を見るという文化はない。

しかし何年か前の紅白歌合戦を見てから僕はその虜になってしまった。たしか「あまちゃん」が一世を風靡した年だった。紅白では「あまちゃん」の番外編のような形でドラマ形式に物語が始まり、最後に薬師丸ひろ子が熱唱するという痺れる展開だった。その時以来、紅白の演出にすっかりと虜になってしまったのだった。

だから今年もとにかく見ようと思った。面白いかどうかはわからないけれど、とにかく確かめようと思った。 結論から言うとちょっとイマイチだった。いやだいぶかな。シン・ゴジラが登場するのは噂で流れていた。XJapanも個人的には楽しみだった。でも結果はいまいち。何だか大学生の学園祭を見ているような気分にさせられた。退屈だった。

これが今年最後の書籍になるなんて

しかし僕には収穫があった。それはこの本を読んだからだ。

村西とおる監督の半生記。80年代が10代の前半であった人々にとっては絶対に忘れられない名前だろう。今でいうと誰にあたるんだろう。あまりにも特殊な人物すぎてちょっと思い浮かばない。過剰に丁寧な言葉使い。卑猥な単語。びしっとした身なり、そしてブリーフ。

深夜番組に氏が登場する度になんだか胸騒ぎがした。笑顔は満面なのだろうが、きって酷い人なんだろう。悪い人なんだろう。そんなことを確信していた。何しろ裏がある人物に思える。裏どころではないかも知れない。裏の裏の裏。そんな感じだ。だからこそその人物像に非常に興味をもっていた。本書を読んで僕のその読みが間違っていないことがわかった。とにかく悪い人だ。そしてしぶとく、強い人だ。何よりも最高におもしろい人だ。

黒木瞳という女優は消えてしまったが、この人物はしぶとく現在まで生き残っている。生命力の人一倍強い、傑物なんだろう。ついこの前も「中高年の叔父さんを救いたい」とか偽善的なことを言ってはいたがそれもきっと嘘っぱちなんだろうなあ(失礼)と考えていた。

しかし傑物だ。生命力が並でない。生きる力が飛び抜けている。数十年間こんな人物は世に出ないだろう。それをこの700ページほどもある人物伝を読みながら実感した。英語教材の全国トップセールスマンからビニ本の帝王、そしてAV業界のドンへ。その破天荒すぎる人生はまるで映画のようだ。二流、三流の映画よりもよっぽど、ドラマティックでナイスでファンタスティックだ。

今年は”つぶやきシロー”氏の小説で読み終わりかと思っていたが、最後にとんでもない書籍に出会った。とにかく凄い本だった。