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FakePlasticTree

ひびのいろいろ

裸の華

裸の華
桜木 紫乃
集英社 ( 2016-06-24 )
ISBN: 9784087716658

桜木紫乃の小説(物語)は自分自身の心が荒んだ時に進んで読み始める。開いた心の傷口にそっと優しく染み入り、そして包み込んでくれるようなそんな感覚を味わうことができるからだ。どの物語も決して幸せなものではない。むしろ圧倒的に不幸で、哀しみで溢れている。それでも人間の強さとしなやかさ、そして優しさに溢れている。

「人生そんなに上手くいかないよね。まあ、でも進まないと」という恥ずかしい感覚が素直に自分の身体に染み渡る。

そんな体験を氏の小説では可能にしてくれる。

この「裸の華」は今までの氏の作品とは若干趣きが異なる。札幌すすきので新規にお店(ダンスバー)を開店する元ストリッパー・ノリカを中心とした物語。くすんだ色が取れて、若干華やかなのだ。それが苦手な人もいるかも知れない。登場人物の誰もが格好いい。

親しかった人間が去ってゆくことに大きな失望がなかったのは、自分の感情にはなんの価値もないと思えたからだ

こんな、台詞に「はっ」とさせられる部分もないわけではない。

しかし基本は綺麗な物語だ。だから圧倒的に感動できたという訳ではなかった。他の作者の作品としてみれば十分に秀作だ。でも桜木紫乃の作品としてみると少しもの足りない。

しかし「ラブアロマ」という言葉は知らなかったなあ(^^)