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FakePlasticTree

ひびのいろいろ

昭和の新宿とスター・ウォーズ

確か最初のスターウォーズが日本で公開されたのは1970年代であった。1977年だったかな。その当時僕は小学校に上がる前。田舎から東京に引っ越してきた頃だった。その当時の僕はメチャクチャ田舎ものであった。東京といえばそこら中に新幹線が走り回っているものだと考えていた。そして同時に車が至る所全速力で突っ走り、街中で交通事故が多発してるというイメージだった。

だから田舎の幼稚園の先生に送り出される時に「東京はとても危険な場所だからくれぐれも車には注意しなさい」と言われた言葉だけ鮮明に覚えている。それは今から振り返ると幼稚園の先生が単に僕の不注意を心配してくれていただけなのかも知れない。

東京に出てきた頃は何もかもが目新しく、騒々しく五月蠅い。そして明るいという印象が鮮烈に残った。新宿の高層ビル(三井住友ビル)を初めて見た時にはその高さ、荘厳さに圧倒された。「この世にあんな高い建物を建てた人々がいるんだな」と変な感慨に耽っていた。なにせ僕の田舎では車で数十分の街中に出てようやく5階だてぐらいのビルに到達するような、そんな場所だったのだ。

もちろんエレベーターなんか乗ったこともなかった。

そんな驚きの連続の東京生活、1970年代。家族は仕事で忙しく、特に父親は昭和の勤め人らしく激烈勤務で働いていた。週に数日しか自宅に帰ってこなかったことも珍しくなかった。

そんな父親と初めて見に行った映画が「スター・ウォーズ」の第一作であったと想う。 大晦日田舎に帰る途中、父親にいきなり映画に誘われたのだ。父親と2人で行動するのは田舎の祖母の葬式以来だった。普段ほとんど喋ったこともなく、遊んだこともないので至極緊張したのを覚えている。

映画館の場所は新宿だった。大晦日の新宿はそれこそ殺人的に人が多く、歩く度に人とぶつかり、しかも子どもだからといって容赦しない。どんどんと人混みの中に埋もれてゆくようなそんな感覚だった。しかもその当時の新宿は汚かった。一刻も早くこんな場所から立ち去りたいと子どもながらに考えていた。

映画は字幕。普通の幼稚園生で、文字なども特別読めず、平仮名ならなんとかというレベル。物語の内容もあまり覚えていなかったが、映像に圧倒されそれだけで物語が終了した。幼稚園生ながら一度も席を立つことなく最後まで見ることができたんだと想う。

なんでオヤジがスター・ウォーズを、しかも字幕版を見せにつれてくれていったのかは少し謎ではある。そんな思い出のスター・ウォーズ。思い込みは多分周囲の人々のほうが何百倍もあるのだろう。今年度末は結構な騒ぎで新作の宣伝をしている。

僕もオヤジと同じように子どもを連れていってみようかな。