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ひびのいろいろ

【書評】本当に残酷な中国史大著「資治通鑑」を読み解く

三国志」や「項羽と劉邦」かあれだけ日本の少年の心を捉えて離さないのは、「そのスケールの広大さ」にあると言って良いように思う。何しろなんでも桁違い。戦争の時に駆り出される兵隊の数が数十万。日本の戦国時代の10倍ほど。しかもそのような争いが比較的どの時代にも行われているのが脅威的なところ。そして当然スケールがデカければ、人間同士の駆引きもダマし合いも、戦略も多種多様になる。

そんな世界感に島国の僕たちはたまらなく惹き付けられるのだろう。

そいいえば、あの「キングダム」も中国を舞台にしたフィクションに近い物語だ。

この漫画において一般の兵隊が将軍らによって、軽々となぎ倒されてゆく場面が良く出てくる。こんなにあっけなく兵隊達がやられても良いのか?と思うぐらいにその闘いは凄まじい。しかもそんな描写はこの漫画についてあちらこちらで頻出する。庶民の命など一般将校は屁とも思っていない。そんな印象を受ける。

それは漫画だからこその表現なのだろう。と考えていたが、それは違った。その通りだったのだ。

今回読んだ書籍で上記のことを実感した。そして心の底から自分は日本に生まれて幸せであったということも確認できた。

Amazonの書籍紹介によると

資治通鑑とは、 坂本龍馬西郷隆盛水戸光圀北畠親房、 そして毛沢東が愛読した“幻の歴史書" 資治通鑑を読まずして中国は語れない! 中国人を理解することはできない! 紀元前500年から1500年間の中国の歴史を描いた『資治通鑑』(司馬光・編)は、1万ページ、全294巻にも及ぶ空前絶後の大作である。

としている。"全294巻!!"という歴史書があるだけでも凄まじい。本書を読むとわかるのだけれど、その内容もまた凄まじい。"悪童の限り"という言葉があるけれどもそんな言葉がばっちりと当てはまるそんな歴史書だ。

資治通鑑は史実に忠実であることを旨としているため、悪事が数限りなく書き連ねられている。資治通鑑には、次々と発生する盗賊や軍閥の理不尽な寇掠と暴行、それに引き続いて起こる大飢饉、まさに広大な生き地獄の世界が際限なく描かれている(kindle....Read more at location 131)

ここでその悪事やについて記すのは辞めておく(文を読むのを躊躇うほどにその内容はどぎついもの

そして本書はただ単に中国を蔑むものではない。

よく「日本には武士道がある」と誇らしげに言う日本人がいる。武士道に見られる自己犠牲の精神や、克己心は日本人特有の美点であるかのように吹聴している。私はこういった日本中心の狭い見方には反対である。 ( kindle...Read more at location 883 )

今書店には日本礼賛そして中韓を罵倒する書籍が溢れているが、上記の言葉だけでそんな本とは明らかに違うことが分かる。そして中国の長所として以下の点を挙げる。

  • 中国は日本と比べて国土も歴史も比較にならない位スケールがでかい。物理的なスケール以上に、彼らは日本人には想像を絶する異民族のすさまじい寇掠を生き抜いてきた逞しさがある。(kindle...Read more at location 2768)

  • とにかく中国人は老獪で辛抱強い (kindle...Read more at location 2067 )

端的に言うと生きる力、逞しさや狡猾さが日本とは桁違いなんだろう。

本書を読んで最終的に思うのは「中国とは適度な距離をもって付き合うのが良い」ということ。それは中国のほうが1枚も2枚も日本より上手だということだ。日本の政治家が外交で中国に勝てるわけはない。そして幾ら地理的に近い位置にあったとしても彼らとは分かり会えないだろう。とそんなことまで思う。

そして大陸の壮絶な歴史と比較して日本が如何に平和で呑気な国民であることか。そんな中国と海で隔てられてなんと幸福であったことか。それと比較して韓国が如何に地理的に不幸な位置に存在しているのかということも改めて理解できる。

中国という国の奥深さ、怖さ、その長所について感覚的に理解できる本であった。