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ひびのいろいろ

【書評】知の武装:救国のインテリジェンス

知の武装: 救国のインテリジェンス (新潮新書 551)
手嶋 龍一, 佐藤 優
新潮社 ( 2013-12-14 )
ISBN: 9784106105517

佐藤優氏の書く文章は逸品だ。視点が他の人と全く異なりそれでいて深い。お金がなくて止めたけれど、氏が発行するメールマガジンは驚異的な情報量と洞察力で一般の新聞の社説よりも図抜けて面白かった。

「知の武装:救国のインテリジェンス」は 佐藤優氏と手島龍一氏の世界情勢、インテリジェンスについて語った対談。

無知な自分はインテリジェンスと聞くと知識階級、インテリに近いものだとばっかり考えていたのだけれど実際は以下のような意味合いで使われることが多いとのこと。

能的な働き全般や諜報活動のことを表すこともあり、この場合、従来日本では、「諜報・情報」と翻訳してきたが、近年、カタカナ表記で「インテリジェンス」として使用されることが多い。
引用:ahref="http://ja.wikipedia.org/wiki/%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%86%e3%83%aa%e3%82%b8%e3%82%a7%e3%83%b3%e3%82%b9"target="_blank"インテリジェンス - Wikipedia

序盤はソチオリンピックに絡めた、チェチェン人とロシア帝国との間の壮絶な歴史の話題で釘付けになる。

ロシア南西部に位置するコーカサスでは、18世紀半ばから19世紀半ばまでの100年の間、そこに住むチェチェン人とロシア帝国の間でいくつもの悲惨な戦いがなされました。 (P41)

ソビエト連邦時代にチェチェン人の9割が殺害された話。チェチェン人には「血の報復の掟」があるという。それに絡めてソチオリンピックの厳戒態勢を考えるとなるほどなと思えるし、いかに各国がテロを恐れていたのかが了解可能となる。

時論公論「ソチ五輪とテロの脅威」

世界史や世界情勢に疎い自分でも、その真相や裏の流れが見えてくることが多い内容ばかりで本当に面白い。佐藤優氏はその眼光からしてただ者ではない雰囲気がありありと出ているが本当にただ者ではない。

その他にも

  • 尖閣諸島
  • プーチンと阿部首相との関係
  • 石光真清
  • 各国でのインテリジェンスの違い(アメリカ、イギリス、ロシア)
  • 沖縄について

などなどそのおもしろさを挙げればきりがない。

特に沖縄に対する洞察は興味深い。

佐藤さん流の用語で表現すれば、新しい帝国としての日本が、21世紀になお 統合をたもっていけるかどうかのキーエレメントは沖縄だというわけですね。 (P250)

ちょっとだけ世界のことを深く考えるようにするだけでも、色々見えてくることがあって本当に面白い。

それにしても凄い人だなあ佐藤優氏。