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ひびのいろいろ

じんわりと心に響く トゥレット症候群の男性の一生を描くクレイ・アニメ「ハーヴィー・クランペット」

「Mary and Max (メアリー アンド マックス)」の監督が手がけたある男の一生。

ハーヴィー・クランペットは1922年Polandで生を受けたTourette症候群(トゥレット症候群)をもつ男性の1章を描くクレイアニメーション。1人の男性の一生をその生誕からたどる物語。Youtubeでは字幕はないがその全てを見ることができる。

トゥレット障害 - Wikipedia

Tourette症候群というは神経学的にも非常に興味深い疾患で様々な併存障害を持ち、その症状発現が成長とともに変容していくという特徴をもつ。病態解明が進めば他の精神神経疾患の病態解明や治療も進んでいくだろうことが予想される疾患である。まあこの作品の趣旨とは全く関係はないが。

はじまりが全てを表す。

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「Mary and max」と同じアダム・エリオット監督による作品。 「Mary and Max」が個人的にたいそう気に入った作品であったので、この「Harvie Krumpet」も大きな期待をもって見た。アカデミー賞 短編アニメーション部門の最優秀賞を獲得でもあり、DVDの背表紙にはクレイ/アニメーション版「フォレストガンプ」と記してある。

この映画の始まりは

”Some are born great . Some achieve greatness. Some have greatness thrust upon them....(生まれながらの偉人もあるが、努力の人、押し上げられる人もいる。)”
"...and then.... there are others....(そして・・ それ以外の人もいる)"

という文句から始まる。この台詞の流れから言ってハーヴィーは「それ以外の人」なんだろうということは想像がつく。そしてこの台詞がこの20分の物語の全てを表している。それ以外の人に属する男の人生を淡々と描く映像。決して派手ではなく、シビアな人生。

僕にはフォレストガンプとの共通点を見出すことはできなかったけど、可愛いクレイアニメーションと淡々としたナレーションで描かれるその人生がなんともいえず味わい深い。

アダム・エリオットという人物

 何故このアダム・エリオット監督は精神障害者を主人公とした作品を創るのであろう。そして作品中の各疾患に対する描写も非常に的を得ている。どういう背景でどういう人生を送ってきた人なんだろうか。これからも彼は数年おきに作品を世の中に出すのだろう。その中にヒントが隠されているのかな。そしてその作品が今から楽しみでしょうがない。

「Harvie krumpet」のDVDには短編作品 『Uncle』『Cousin』『Brother』という家族三部作が同時に収録されている。「Mary and Max」や「Harvie Krumpet」と比較すると作品自体がまだまだ荒削りではあるけれど、十分に楽しめる短編。どれも数分程度であるが。やっぱり味わい深い。

この監督の最高傑作は「Mary and Max」であることに代わりはないが、この作品も見て絶対損をしない素晴らしい作品であることに代わりない。