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ひびのいろいろ

【書評】家族喰い――尼崎連続変死事件の真相

 

尼崎連続殺人事件のノンフィクション。尼崎事件はもう随分前に話題になった事件だと考えていたら、発覚したのは2011年11月。まだ2年しか経っていないことになる。

 

尼崎事件 - Wikipedia

 

主犯格の犯人の自殺でこの事件は急速に世間の話題から遠ざかってしまったような印象がある。しかし、つい先日NHKの番組(スペシャル)でこの事件が取り上げられたことがあった。その番組の内容は、主に香川県に在住していた家族が、容疑者に乗っ取られてから監禁されるまでの様子を綴った番組であった。

 

 その経緯はあまりにも凄惨で、こんな内容を地上波の番組で流して良いのだろうか? と考えてしまうほど、内容がひどいものであった。この番組をみてトラウマになってしまうかも。そんなことを思ってしまうような内容であった。でもそれが本当にあったこと、真実なんだ。

 

 本書の帯に書いてある以下の言葉の通り、この事件の全容解明は未だなされていない。主犯格の女が自殺してしまったからだ。つまり彼は、尼崎連続変死事件の捜査において、行方不明者としてカウントすらされていないと見るべきだろう。いったいこういう人物が何人いるのだろうか。それこそが、角田美代子の関わった事件の真の闇の部分である気がした。

 

誰の身にも起こりうる事件。

 

本書は事件の現場となった尼崎を中心として徹底的な聞き込み調査によって事件を描くような内容となっている。そこから分かるのは本当に普通の幸せな家族が、魔物の毒牙にかかるように事件に引き込まれてゆくということ。

 

普通の家族というようりも、どちらかというと善良な家族と言って良いかもいれない。むしろ善良な人達でなければ事件に巻き込まれなかったのであろう。

 

こんな話はおおよろフィクションでしかあり得ないものだと思っていたら現実にあったのだとは未だに信じられない。そういえば昔、ジョジョの奇妙な冒険 の作者である「荒木飛呂彦」が描いた魔少年ビューティーにも同様の話があった。

 

魔少年ビーティー (集英社文庫―コミック版)

 この漫画を読んだ時にまだ少年だった僕は、それだけで夜に眠れなくなったのを覚えている。

 

徹底的に主犯の女を調査して欲しかった。

 

今更のことではあるけれど、主犯格の女の人格構造化や認知機能、画像所見を含めた医学的所見を徹底的に調査して欲しかった。

 

宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
 宅間守のような徹底的な調査と考察があれば、少しでも被害者の供養になっただろうに。