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ひびのいろいろ

【書評】桶川ストーカー殺人事件―遺言

好きな本のジャンルはノンフィクションが多い。Kindleで購入する本もどっちかというとノンフィクションが多い。

今回読んだノンフィクションは「桶川ストーカー殺人事件」を題材にしたもの。

事件当時は僕も被害者と同じ大学生だった。そして「ストーカー」という今では全く当たり前に使われている言葉がまだ珍しい言葉だった時代。マスコミの被害者に対する悪意とも思えるような報道。

そういう巡り合わせで非常に印象的な事件だった。

 官庁などが発表する「公的な」情報をそのまま流して「一流」と呼ばれることに甘んじているメディアの報道が、その情報源自身に具合が悪いことが起こったときどれだけ歪むか。情報源に間違った情報を流されたとき、「一流」メディアの強大な力がいかに多くのものを踏み潰すか。(p.58)

事件の最初の報道というものはどうしても強烈に僕たちの心に強く残ってしまう。この事件で植え付けられた被害者の方の印象もそんな感じだった。

そんな当時の時代の流れに唯一逆行して取材を続け、犯人や警察を追い詰めたと言ってもいいジャーナリスト 清水潔氏のノンフィクションである本書.

警察に限らず、日本の官庁にはどこにでも「記者クラブ」というものが存在している。新聞やテレビなどの報道機関が集まって作るこの任意団体は、本来クラブ員たちが取材を円滑に行うために置かれている組織なのだが、現実には各官庁が加盟社と非加盟社でメディアを選別し、情報コントロールを行いやすくするために機能している。私にはそうとしか思えない(p.251)

事件当時にタイムスリップしたかのような感覚で読み続けることができる。そして記者クラブに属していない反骨の記者だからこそできた使命感に燃えた取材。これぞプロ。

プロのストーカーがアマチュアのストーカー(この事件の犯人)に負けるはずがない。

と言い切る場面では思わず鳥肌が立った。

これぞプロのジャーナリスト。