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ひびのいろいろ

【書評】ラブレス

良い小説というものは、読了した後にもだいぶその余韻を楽しむことができる。

 

ラブレス
桜木 紫乃
新潮社 ( 2011-07-31 )
 

 

 この 「ラブレス」は当直明けの寝ぼけた頭の中で一気に読んだわりにはいつまでもその内容が、余韻が頭の中から離れない。酷く濃密で昨日からまだぼんやりとその内容が時々頭をよぎる。

 

 第146回直木賞候補にもなった作品というのも充分納得。舞台は北海道の開拓村。父親の酒と暴力に支配される家庭。そんな家庭環境を背景にもつ二人の姉妹の物語。物語は3世代にも渡る。

どうみても不幸の連続、昼の連続ドラマでも起きないようなことばかり起きる生活の中で、柳のように生きる女性達。

情感溢れるとてもしっとりとした切ない物語。決して大泣きするようなものではないけれど、あとからジワジワこころの中に滲みてくる。絹の織物のように繊細に人間の心を描く。

 

文学って素晴らしい。

 

 哀しいのだけれど、絶望的ではない物語。男ってやっぱり駄目だ。そして貧困はやっぱりだめだ。