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ひびのいろいろ

【書評】こんなに切なくて暖かい漫画はめったにない。大傑作_「Sunny」第三巻。

「漫画は想像力がなくなるから駄目だ」

小説は絵としての情報がない分自分のアタマで考えることが色々できる。それを漫画は奪ってしまう。

というようなことを子どもの頃は良く言われたもんだ。

そう考えている人にこそこの漫画を読んで欲しい。


松本大洋の「Sunny」。

舞台は児童擁護施設「星の子学園」の子ども達。その学園の片隅に放置されている車が『Sunny』。

松本大洋の傑作! 『Sunny』 « FakePlasticTree

とんな「Sunny」の第三巻がついに発売された。第2巻も傑作だったが、第3巻もそれに負けることなく非常に密度の濃い素晴らしい作品。1話1話がそれ自体でストーリーが完結している仕組みになっているが、そのどれもが泣かせる。

第2巻の書評の時にも書いたことだけれど、情報と情報の間にある空間、間が素晴らしい。それはきちんと3巻にも受け継がれている。決して情報としては多い訳ではない。しかし、絵や台詞の間に色々な感情や風景を連想させてくれる。その感覚が本当に素晴らしい。

そして静と動のコントラストがまた良い。施設内で皆でいるときと一人で子どもがたたずんでいる時。それを絶妙な絵と間で描ききっている。

電車の中でこの漫画を読んでいて、なんど人前で涙が出そうになって慌てたことか。

凄いのは哀しいだけでなく、どこか暖かくて穏やかな気持ちにもさせてくれるんだよなあ。

「Sunny」.恐るべし。

Sunny 3 (IKKI COMIX)
松本 大洋
小学館 ( 2013-01-30 )
ISBN: 9784091886132