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ひびのいろいろ

小説「いねむり先生」

いねむり先生

 伊集院静と色川武大氏との交流を描いた作品。伊集院静が妻を亡くし自暴自棄となっていた頃に現れた色川武大。そのなんともいえない優しい人間性に徐々に伊集院氏が癒やされてゆくという内容。

 色川武大(阿佐田哲也)氏は持病にナルコレプシーを持っていて昼間でもどこでも常に寝てしまう。そんな訳で本書のタイトルも「いねむり先生」となっている。

ナルコレプシーとは

 ナルコレプシーとは日中の強い眠気を特徴とする睡眠発作を特徴として、入眠時幻覚睡眠麻痺などをその他の特徴としてもつ睡眠障害。

International Classification of Sleep Disorders Second Edition(ICSD-2)(睡眠障害国際分類 第2版)という睡眠障害の診断分類のなかでも明確な診断基準をもち、日本睡眠学会では診断/治療のガイドラインも発表している。

 おそらくこの小説の舞台となった1980年代はナルコレプシーの認知度もそして治療法もしっかりと確立されていなかった時代。

ナルコレプシーの入眠時幻覚が統合失調症と診断されてしまったり、日中の過度の眠気が「なまけ病」のようにも扱われてしまったこともあっただろう。
 強い感情が惹起される時に生じる情動脱力発作もかなりの精神的負担となっていたはずだ。

 優しい、優しい雰囲気

 ナルコレプシーという難病を抱えながら生きてゆく色川先生の物語。色々な人に愛されていたんであろうエピソードが随所に本書には出てくる。実際かなり魅力的な人だったんだろうな。

 そんな色川先生が伊集院氏に語る台詞がなんとも良い。

特に僕が好きなのは

サブロー君、人は病気や事故でなくなるんじゃないそうです。人は寿命で亡くなるそうです

という所だ。言葉は多くはないが、人柄が凝縮されていると思う。

映画化されるとしたら氏を演じるのは「西田敏行」しかないだろうなあ、と個人的には思ったりして。

 とにかく大人が読んでしっとりとした気分になることができるそんな小説。