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ひびのいろいろ

ノンフィクション「不登校児 再生の島」

不登校児 再生の島
奥野 修司
文藝春秋 ( 2012-04 )
ISBN: 9784163751108
 

 

不登校児 再生の島

 

沖縄本島南部に浮かぶ久高島。わずか人口250人超の過疎の地に、農業を実践しながら中学校に通える「久高島留学センター」がある。だが、全国各地からやってくるのは、不登校、引きこもり、いじめなどで家にも学校にも居場所がなくなった問題児ばかり。テレビもゲームもないゆったりとした時間の流れと大自然の恵み豊かな生活の中で、子供たちは心と身体の健康を取り戻し、不登校や引きこもりから脱却してゆく。そして、子供の問題の真の原因は親にあること、親が変わらなければ子供も変わらないことが明らかにされる。すべての子供をもつ親に深い感動を与えるノンフィクション。

 

もう本の題名そのままの本。主に中学生年代の子ども達の島での生活を中心として話しは展開する。そして実際に子ども達に様々な変化が生じる。

 

 その理由を著者は第10章で挙げている。

  • 現代の「若衆組」 
  • シンプルな生活
  • 添加物なし、野菜中心の食生活
  • 運動が心を鍛える

  若衆組とは青年団みたいなもので、村落における祭礼行事や自警団的活動など村の生活組織と密着した自然発生的な集団のこと

 

 本当に素晴らしい試みだしやっていること自体に反論の余地は全くない。しかし問題は本書の随所で「子どもの問題は親の問題」という文句が散見されること。

それが一般論として語られるとかなり異和感がある。

 

 「やっぱり違う」と思う。そんな単純な理由で不登校の問題は解決できない。

 

 親の問題にするのは一番シンプルで、分かり易い方法。周囲の人々のそのような意見に傷ついてきた保護者の方は数え切れない。そして真実は違う。多種多様な原因(子どもの生来的な特質や環境要因、時代背景などなど)、加えておそらくそこにはタイミングとかその子自身の運とかそういったものが複雑に絡みあって生じるものだと僕は考える。

 

 子どもが 山村留学を決意する という行為自体、その段階である種のセレクションがかかっている。

その決意をした時点で子どもはもう8-9割は不登校から抜け出していると行って良い。

そしてそういう気持ちに子どもをさせるように誘導してきた周囲の人々の努力もきっとあったに違いない。

 

 しかしなんだかんだいって子どもが成長してゆく姿を感じられるというのは凄く勇気づけられる。そういう意味で素晴らしい本だった。