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ひびのいろいろ

やはり傑作だった”聯合艦隊司令長官 山本五十六”

 

 副題に太平洋戦争70年目の真実とあるが、いったい何が真実なのか自分には分からないままだった。

まあそんなことはあまり映画の内容とは関係ない。半藤一利の著作が原作とあって、基本的には海軍善玉説。山本五十六をはじめとする海軍首脳部は基本的に戦争には反対であったという立場に乗っ取って描かれている。観に来ている人達の年齢層が非常に高かったのが印象的だった。そして自分にとってはここ一年でもっとも考えさせられる映画となった。

各役者の演技が凄い

まずはじめに山本五十六演じる役所広司を中心とした各役者の演技が素晴らしい。役所広司以外の役者陣も柳葉敏郎吉田栄作阿部寛椎名桔平伊武雅刀坂東三津五郎柄本明香川照之とメチャクチャ豪華。これで良い映画ができないはずがない。

特にそれは台詞のない沈黙の場面で顕著になる。非言語的な部分や少しの沈黙と間だけで、色々な感情、想いが伝わってくる。役所広司というのは本当に凄い役者だ。今思い出しただけでも、印象的な場面が次々と浮かんでくる。

 

  • 戦火の中黙って将棋を指すシーン

などなど・・・本当に挙げれば切りが無い。派手な戦争のシーンや悲しみを煽るような演出や音楽もない。であるからこそ各役者の演技が際立って心に突き刺ってくる。

日本人は基本的には何も変わっていない

世論とそれを煽動する新聞社を中心としたマスコミに後押しされるようにして根拠のないまま開戦に突入してゆく。指導部は責任の所在がはっきりせず、改選前は首相が何人も交代する.

 

日本人にとって都合の悪いことは起こって欲しくない→起こるはずがない。元寇の時代から日本人は戦争に負けたことがないから、今回も負けないはず、なんとかなるという、根拠もなにもないその場の雰囲気だけでどんどん戦争から後戻りできなくなってゆく。その場の雰囲気には誰も逆らえず、逆らおうとすると集団の圧力で抹殺される。

 

それは今の日本と悔しいけど何も変わっていない現実だ。この映画を見るとそのことを強力につきつけさせられる。

山本が新米の新聞記者に向かって「自分の目と耳と心で考えないとだめだ」ということをボディーランゲージで伝える場面がある。これができる日本人は僕も含めて一体どれだけいるだろうか?。昭和初期と比べて今手に入る情報は飛躍的に増加しているが、自分で感じて、物事を考えているんだろうか?場の雰囲気に流されていないか? そんなことを考えさせられた。

日本の近代史を勉強する

 日本にとっては避けられない戦争だったのかもしれない。ペリー来航から続く、西洋諸国の自分勝手な振る舞いには大きな憤りを感じる。狡猾なアメリカやイギリスの罠にはまってしまったことは本当に腹が立つし、当時の人々の(開戦前の好戦を煽る)感情も理解できなくはない。

でも、そこから学ばなきゃいけないことも多いはず。

 

なので、最近僕は日本の近代史を勉強するように心がけている。自分の今の仕事とは全く関係ないけれど、それは日本人の責任のようにこの頃思っている。