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ひびのいろいろ

【書評】俺はこんなにカッコ良い中学生じゃなかったな。 重松清『エイジ』

エイジ
重松 清
朝日新聞社 ( 1999-01 )
ISBN: 9784022573520
 

タイトルには”14歳の少年のフツーな気持ちを描く現役中学生へのエール”と書いてある。しかしこんな格好いい中学生はそうはいない。自分はもっとグダグダで駄目な卑屈な中学生だった。

 

『東京郊外のニュータウンで起きた連続通り魔事件の犯人がクラスメートだった』という設定で物語は始まる。主人公はバスケ部のエースだが、怪我で休部中。クラスの中でもそこそこの存在感。クラスメートの逮捕というショッキングな事件の経過の中で揺れ動く少年の心が描かれている。たぶんその心の流れを味わう小説なんだろう。

 

 しかし、重松清の小説の中では僕はあんまり好きじゃない。第一に主人公がカッコ良すぎる。こんなカッコ良い中学生はそうはいない。運動もできず、女の子にももてず、グズグズでだらしなくて、そのくせプライドだけは高い自分の中学生時代とあまりにもかけ離れている。なんかそんな気がする。

 

それでも登場人物の心の動き。中学生の時ってこんなこと考えていたかもな。という所が随所に出てきて、それがなんとも懐かしくもあり痛々しく、ほろ苦い。重松清はココロを描くのが本当に上手い。やっぱり大好きな作家であることは間違いないな。